INSEI×minimalism

散歩と寝ることに全振りしてる大学院生です。

『魂の退社』読んだ

 

 

いやー相当ブログをサボってました笑

 

というわけでブックレビューいってみよー!!(久々更新でテンションがわからない)

 

 

 

稲垣えみ子『魂の退社』

 
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 そもそも社会に出てない自分が読むのはどうなんだ... ってのはあるけど、だからこそフラットにも読めるのかなと思って読んでみた(メルカリで300円!)。稲垣さんを初めて知ったのは情熱大陸だったかな?髪のインパクトが半端ねェおばちゃんが変わった暮らししてるなーてのが第一印象。

  本の内容を一言で言うと、大手新聞社に新卒で入社し、高給稼いでブランド中毒になってたおばちゃんが、会社に主体性乗っ取られそうになったから早期退社してアフロにしたらモテ期きたよねって話。個人的に面白かったのは会社中心の社会と見栄に関するとこかな!

 

 

「会社社会」ニッポン

 

 稲垣さんは日本が会社中心の社会であるために、無職になった途端ひどい扱いを受けたらしい。クレカ作れない、健康保険で不利になる、家賃契約で怪しまれる....とか。

 会社に勤めてないだけで、非人間扱いされちゃうんだよね〜。

 

私という人間は同じなのだ。定期収入があるにせよ、ないにせよ、返せないような借金をするつもりなどない。これまでも借りたお金はきちんと返してきたし、これからもそうだ。しかし、そんな一人の人間としての矜持も実績も「会社に所属しているかどうか」という一点だけで無視されてしまう。実際には、会社に所属していたって借金を返すことにルーズな人間はいくらでもいるし、カードを作った1週間後には会社を辞めてしまう人間だっていくらでもいるはずだ。(p132)

 

  会社員かどうか(あるいは経済力があるかどうか)が、社会的信用の条件になってるし、制度の範囲を超えて日常的に人が人を判断するときの基準にもなっちゃってる。つまり、普通に会社に勤めてることが人並みであるということの指標になっちゃってる社会では、無職の人は欠陥人間として扱われがちになっちゃうんだよね

 無職=ダメ人間っていうのが典型的だけど、ある部分からその人の存在全体が断定されてる。あるいは就職できなくて自殺する学生が毎年出て、「就活失敗したくらいで自殺とかwwww」って言う人いるけど、それも想像力が足りてない。会社員になれないってことは自分の存在が社会に承認されてないことを実質的に意味してるんだから、人並みでいよう!って思いが強すぎる人が挫折したときは死ぬぐらいしても違和感がない。

 ダメ人間だから無職になった、ってケースももちろんあるけど、クビで無職になったから結果的に人生いろいろダメになっちゃったって方が多数なわけだし、能動的に無職を選択した人については、まとも/ダメ図式でそもそも語ることができない。無職に対する世間の不寛容さ、不理解について稲垣さんは一石投じたいんじゃないかなー。もっと違う生き方もあるよ〜って。

 

 

 

止まるわけにはいかない

 

そんな稲垣さんもリーマン時代は俗物であった。

 

高度成長期に育ち、「いい学校」「いい会社」「いい人生」という黄金の方程式を疑わずにスクスク生きてきた私は、いつの間にか「金満」(お金でなんでも手に入れようとする生活態度)、「優越感追求」(人よりも「上」でなければ満足できない精神)、「欲望全開」(十二分に恵まれているのに満足できず絶えず手に入らないものに目を向け不満を募らせる)の人生を生きていました。(p36)

 

グサッ

 

欲望は努力のモチベーションであり、その結果得たものは享受して当たり前であり、さらにどれだけ享受しても上には上があり、もっともっと上を目指したい、目指さなければいけないと思っていたのです。(p36)

 

 グサッグサッ

 

大金を払って服を手にいれる「その瞬間」が幸せのピークなのです。その後、重くかさばる紙袋を持ってようやく家に着くと、まあ何ということでしょう 。もうその服やら靴やらを袋から取り出すことが、どことなく面倒臭いのです。(p37)

 

 

  生まれた瞬間から割と時代がシラけてたから状況違うだけど、よくわかるなぁこれ。プライドが自分に無理をさせてるが、そういう欲望はいつも虚しさに宿命づけられてる。一方で、今の自分以上になろう!っていう気持ちは成長の原動力だったりするから面白い。誇大な欲望が自分を今以上に大きくするのは事実だから、それを捨て去ることには抵抗があるけど、上手く扱えないと逆に欲望に自分が飲み込まれる。50歳ぐらいになって、稲垣さんの言う「人生の折り返し地点」まで達すれば全然違うんだろうけど、まだ自分にはそこまでいけないなーと思ったり。でも、人生下り坂に差し掛かってきた時にしっかり減速していくためには割と今できることを頑張んないとな、なんて思ったり。じゃ欲望大事じゃん!

 

 

 

終わりに

 今の職に不満がある人にとっては危険書物かもしれない笑。あとどこらへんが「魂」なのかよくわからなかったけど、さすが元記者さんだけあってメチャ読みやすいのでオススメです。稲垣さん3万円の美容液使ってたみたいだけど僕もSK-II使ってみたいです。誰かください。

 

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